Spellboundされるまでの経過(長文)
[spell-bound]
spellbind「呪文で縛る、うっとりさせる」の過去・過去分詞形。
形容詞「呪文にかかった、魅せられてボーッとした」


先に言っておきます。私はデモ音源集Spellboundでファンになった、ものすごく偏ったファンです。

TFK1999年来日公演(感想はこちら)でHasseに一目惚れならぬ
一聴き惚れした私は、TFK以前の活動を追うことにしました。相方のShibuが何気に1stBreaking The Spellを所有していたことを知り、ジャケットのメンバーのファッションにニヤニヤしつつ聴いてみましたが・・・正直辛かった(汗)。"Stardust We Are"で聴いた伸びやかで豊かな声が好きなのに、全然違うんだもん(涙)。演奏や曲を堪能する以前に、よりによってHasseが邪魔をする・・・はうぅ。ベテランメタルファンの間ではマニアックな評価を得ていたようですが、私は投げました。いいの、今があれば。(1stのファンの方すいません・・・)で、私はTFKにより傾倒していくと共にHasseがSpellbound解散後に結成したHRバンドSolid Blueの方に転がっていきます。Solid Blueでは、Hasseの歌声はTFKで聴けるハイトーンとは違うラフなスタイルでしたが、表現力、声量共にハイレベルなヴォーカリストに成長しておりました。曲もいいんだよこれが。メロディメーカーとしてのHasseにも惚れました、いや本当に。

確か2002年末、ShibuがDisk HeavenからSpellboundを拾ってきました。以前のことがあってあまり期待しないでCDプレイヤーに入れてみると・・・HasseのVo.は時々荒さが聞こえるものの、Solid Blue時と近いレベルになっていました。演奏力もアレンジも格段にレベルアップしていて、「1984年のデビュー作から5年の間にものすごい勢いで成長していたんだ。もしかして世に出るタイミングを間違えたバンドだったのかも・・・」とSpellboundを見直すきっかけになりました。

時々B級の臭いを感じつつも、SpellboundがCDプレイヤーの乗る頻度が段々増えていきました。各曲どこかに必ず印象に残るアレンジやメロディがあって、なんかクセになるのだ。で、ふと"Dancer"のコーラスパートのギターリフが耳に引っ掛かったのです。粘りのあるバッキング。大して珍しいフレーズではないんだけど、カッコイイなぁ〜と思いました。元々LAメタルやスラッシュ系が好きでしたから、ギターリフやソロがカッコイイと喜ぶ体質です。ギターをよく聴いてみると、4人編成になって薄くなるアンサンブルをカバーする為、ソロだけでなくバッキングに関しても大暴れしてました。アーミングやハーモニクスの入れ方も面白い・・・もしかしてこの人、センスいいんじゃないかー?!実に好みだー!!今時の早弾き系じゃないけれど、Eddie Van HalenやSteve Vaiを彷彿させるテクニカルなソロも弾いてるんだよ。ギターヒーローになれる能力は充分あったと思うんですが、やっぱりデビューのタイミングが悪かったんだろうなぁ。(あと、泣き系のソロ弾かないし)
ロックバンドの花形ポジション、ヴォーカルとギターに好みのスタイルを持つミュージシャンがいるとなれば、バンドのファンにならずにいられません。「これ、好きかも〜」と思い始めたのが2003年の春頃。後は転がる一方でした。一日一回Spellbound。一日中聴いてたときもあった(笑)。
その後2ndRockin' Recklessも聴く機会を得ました。HasseのVo.の変な力みが若干薄れ、まだまだ未熟ではあるけれど、「これなら聞ける」と思いました。しかしこのアルバム、どこがどう、と具体的に言えないのだけどなんか変だよね。でもなんか好き(笑)。

Spellboundは現在、世界的にはメロディアス・ロックと呼ばれる(少し懐古が入った)ジャンルに属するようです。日本国内ではスウェーデンという出身国からまず「北欧メタル」に分類されるでしょう。でも北欧メタルに求められてるらしい「透明感」だの「美旋律」とかいう形容詞はあまり当て嵌まらないバンドでした。"
A Little Bit Of You"や" Die For Love"みたいな、Groovyとまで行かないけど、ノリが勝負のバンドだったように思えます。その上Hasseの少しハスキーで、悪く言うと安定しない声質(いつもフラット気味に聞こえる)やJJのザラついたギターの音色は「透明感」とは違う感覚です。わたしにはそこがたまらなく魅力的なのですが、「北欧メタル」という観点からみると「ちょっと違う」バンドのような気がします。自宅にある北欧のバンドやゼロ・コーポレーション系のアルバムをずいぶんと聴いてみましたが、やはり似たバンドは見つかりませんでした。むしろExtremeの1stとかWingerといったアメリカのバンドの方に近いものを感じます。ともあれノイジーで、メロディアスで、ゴキゲンなロックとしては十分なセンスを持ったバンドだったと、2003年になって思いを馳せておりました。もうちょっと評価されてもいいのにねぇ。マイナーすぎるか・・・。

・・・そうしたらば、再結成なんかしてるじゃないですか。イベント的なものだと思ったらデモ作ってるじゃないですか!TFK友達を通じて聴かせてもらったならば、Spellboundの頃とはまた違うGroovyな音になってるじゃないですか!!!聴いて思ったのは「アダルトなヘヴィ・メタル」(笑)。デスメタルとかネオクラシカルとか、どこか一つの要素が特化したジャンルが乱立した昨今のHR/HM界ですから、この70年代+Zep風味なムードというかテクスチュアを楽しむにはある程度の経験度が必要だなぁと。だから、大人の。いいじゃありませんか。実に官能的であります。Hasseの声は昔の方が太かったけれど(普通逆だよね(笑))レンジが広くなった分、表現力が豊かになっていると思います。それに・・・もし貴方がGlenn Hughesでのプレイを聴いて、そして某雑誌編集長のすり込みによって、JJを「地味なプレイヤー」と思っているならば"Psychonaut"のエンディングのソロを聴いてもらいたい。「ギターソロってこうだよ!」と鼻息を荒くしてしまうくらい、スリリングなプレイが収められているからです。どうしたらこの興奮を伝えられるんだろう?

この3曲入りのデモには色々な可能性が感じられてました。HasseはTFKや普段の仕事、カヴァーバンドでとても忙しいし、JJはGlennのバンド、HTPと世界を飛び回って時間が無く、Olaと
Thomasにも普段の仕事があり、メンバー全員が落ち着いて集まる時間を作るのが難しい、とHasseはTFKのファンジンのインタビューで言ってました。どこかのレコード会社と契約を交わしたとしても、ライブツアーなどやれないでしょう。にもかかわらず、すでにフルアルバムを制作できるくらいのマテリアルを持っているという・・・今バンドが表現すべき素晴らしい何かを掴んでいるとは思いませんか?

私は彼らの新作が世に出ることを強く願っています。きっとそれは私を魅了してくれるに違いないから。

(2004.02.17)


このサイトの今後について

10月某日にHasseからお手紙をいただきました。(彼はメールアドレスを持ってないか公開していない)
そこには「Spellboundはもうない」と書かれていました。理由は、JJ Marshが非常に忙しいのと、家族持ちのメンバー達(JJ以外の3人)が日常生活などに忙しくて、集まる時間が取れないのでバンドを維持できない、ということでした。あまり驚きませんでした。彼らが本気でバンドをやる気ならば、何が何でも時間を取って録音するだろうと思うし、彼らはそうしてなかったわけで。しかし私が何をしたかというと、サイトを作って、デモCDを何人かに送らせてもらっただけで、死ぬ気で何かしていたことはありません。

しかし残念ではあります。私、本気で"Phychonaut"のギターソロは世界一カッコイイと思ってますし、それが世に出ないのはとても無念というか、もったいないなぁと。もし輸入盤でも、何かの形でリリースされたら、きっとJJ に興味を持てなかったGlennファンも驚かせるだろう、それくらいの気迫のソロでしたから。
あと、あまり触れる機会がなかったThomsonのベースですが、ルートを刻むだけではない、興味深いプレイをしていたので、まだまだ現役でやれるんじゃないか、とも思ってました。

で、このサイトをどうしようかと考えていました。現在、日本でGlenn Hughesのソロを扱うサイトがないのが歯がゆいので、少し改造してGHも取り入れたサイトにしようかと思いましたが、私にはちょっと相手が大きすぎるので止めました。
昔を思い出してたまーに覗いてくれてる人がいるようなので、削除はしません。「最近の動向」をまったり更新する感じで維持していくつもりです。あまり現状と変わりありません(笑)。現在のゲストブックは過去ログをとってから変える予定です。SpellboundのDicographyが追加される可能性はなくなりましたが、JJ MarshとHasse Frobergの関連作品は追加されます。これからも彼らの活動を見守っていこうと思います。

(2005.10.16)



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